1903(明治36)年、長野・石堂に創業した「越前屋」から発展

石堂エリアの伝統と進化を象徴する「echizen GALO」さんにお話を伺ってきました!

1903(明治36)年、長野・石堂に創業した「越前屋」。当時の屋号は「越前屋小池清三郎商店」で、越前和紙を扱っていたことから、この名がつけられたそうです。現在はインテリア専門商社として、住宅・オフィスに彩りを加えています。会社が歩んできた歴史、事業内容、街との接点、そして街の魅力について、北石堂町に事業所とインテリアショップ「echizen GALO」を構える同社オフィス事業部 部長の土井さんにお話を伺いました。

「echizen GALO」店内
「echizen GALO」店内

全ては石堂で始まった

―― 「株式会社越前屋」さんの歩んできた歴史、また概要について聞かせてください。

株式会社越前屋 オフィス事業部 部長 土井零視さん : 当社は、現社長の祖父・小池清三郎が越前和紙を扱う「越前屋小池清三郎商店」として、当地――「echizen GALO」のビルが建っている場所ですが――で創業したのが始まりです。

明治41年刊の『長野商工案内』に掲載されている「越前屋」の広告(国立国会図書館蔵)
明治41年刊の『長野商工案内』に掲載されている「越前屋」の広告(国立国会図書館蔵)

土井さん : 1903(明治36)年の創業から半世紀近くを個人商店として営業し、1950(昭和25)年の法人化とともに「株式会社越前屋紙店」に社名を変更。現在の社名「株式会社越前屋」になったのは1973(昭和48)年のことで、その翌年には本社が「長野アークス」へと移転しました。もともとは障子紙や襖紙、掛軸の裏打紙などを扱っていたのですが、昭和30年代頃から始まった住宅環境の変遷に伴い、壁紙、カーテン、カーペットなどを卸すようになりました。

「越前屋」の昔の店舗
「越前屋」の昔の店舗

―― 最近の取り組みについてはいかがでしょうか。

土井さん : 営業拠点は順調に増えており、新潟県や岐阜県だけでなく関東圏にも進出しています。それ以外の動きとしては、もともと貸し画廊だったこのフロア(2階)に、私が所属するオフィス事業部が移ってきました。1階は書道用品を扱う店舗が入っており、創業当時の名残を感じさせる和紙も僅かながら扱っています。

1階の「越前屋」では創業時からの商品である和紙や書道用品を扱う
1階の「越前屋」では創業時からの商品である和紙や書道用品を扱う

―― 土井さんが所属する「オフィス事業部」についてですが、具体的にはどのような仕事をされているのでしょうか?

土井さん : 10年ほど前から、本社にあるカーテン・ショールームの一角でワークチェアを展示するようになりました。大々的に販売していたわけではなかったのですが、オフィス事業部がここに移るタイミングで、一般の方もターゲットにし、ワークチェアだけでなく「カリモク60」なども扱うようになりました。県内で「カリモク60」を体感できるのはここだけなので、こだわりのある方を中心に来店してくださっています。

写真中央は「カリモク60」の「Kチェア」のミニチュア版「Kチェアミニ」
写真中央は「カリモク60」の「Kチェア」のミニチュア版「Kチェアミニ」

高機能なオフィス用のワークチェアも展示・販売する
高機能なオフィス用のワークチェアも展示・販売する

―― 貸し画廊だったという2階には、オフィス事業部だけでなく「echizen GALO」としての機能もあるそうですね。

土井さん : ショップ・イベントスペース・ギャラリーの3つが主な構成要素です。貸し画廊だったこの空間を改修するにあたり、学生やアーティストの作品を展示する場所が街には少ないと感じたので、ギャラリーの機能は残すことにしました。大型店は別にしても、町中の中規模家具店にとってはなかなか困難な時代がつづいています。ギャラリーを通じて色々な方に来ていただきたいですね。

ギャラリーとしても利用できます(写真は「今井あみ展」)
ギャラリーとしても利用できます(写真は「今井あみ展」)

ギャラリーとしての利用例(写真は「中村眞弥子展“絵のある暮らし”」)
ギャラリーとしての利用例(写真は「中村眞弥子展“絵のある暮らし”」)

イベントスペースとしても、これまでに色々なイベントを開催してきました。インスタレーション・アートにも場所を提供していますし、「善光寺」がライトアップされる「長野灯明まつり」と連動したイベントや、表現活動をされている方の発表する場としても利用していただいています。それ以外では、プログラミングの勉強会を開催していた時期があります。音楽なら音楽、演劇なら演劇といったように同じコミュニティ内での往来はあっても、その枠を飛び越えた接点というのは意外に少ないものなので、ここが思わぬ発見をもたらす場であったり、新しい出会いを提供する空間であれたらと思っています。

「長野デザインウィーク~善光寺表参道イルミネーション~」の会場としても利用されています(写真は清泉女学院大学人間学部文化学科1年生 山貝ゼミ「光のアート作品」)
「長野デザインウィーク~善光寺表参道イルミネーション~」の会場としても利用されています(写真は清泉女学院大学人間学部文化学科1年生 山貝ゼミ「光のアート作品」)

「echizen GALO」でのライブイベント「金馬車と午後3時の犬」
「echizen GALO」でのライブイベント「金馬車と午後3時の犬」

新しい動きが街の魅力を高める

――石堂エリアの特長とともに、会社や土井さんと、街との関わりなどありましたら聞かせてください。

土井さん : 私は育ちは市内ですが、犀川より南側に住まいがあったので、石堂エリアあたりは“華やかな街”というイメージが強いですね。2010(平成22)年頃からですが、漠然と“街がもっと活気づけば”と考えるようになりました。そのようなとき、この街で色々な動きがあることを知り、そのひとつ「門前研究会」という集まりに出るようになりました。街の中心から離れたところで育った私にとって“門前”という言葉は、どこか吸い寄せられるような魅力があったのかもしれませんね。

オフィス事業部 部長 土井さん
オフィス事業部 部長 土井さん

そのとき、ふと“門前”とはどこからどこまでが区域なのか”と思いました。この「echizen GALO」のビルは「長野」駅と「善光寺」の中間あたりで、どちらかと言えば駅に近い――。そこで、ここは“門前”なのかと郷土史に詳しい方に質問してみたところ、“これは個人的な解釈ですけど”と前置きした後、「長野」駅から「善光寺」に挟まれた区域は“門前”でいいのではないかと。それをきっかけに、この場所(石堂エリア)も“門前”なのだと意識するようになり、街への見方が少し変わりました。街歩きイベントや空家見学会の開催、またカフェを開いたり、小物を販売する若い方が出てきたり、ここ最近の“門前”は特に面白いですね。

土井さんが案内した「ながの門前 まちあるき」のイベント「少しオープンなオフィスめぐり」
土井さんが案内した「ながの門前 まちあるき」のイベント「少しオープンなオフィスめぐり」

土井さん : “街と会社との接点・関わり”について、かつては毎年8月に開催される市民参加型の祭り「長野びんずる」に全社員が参加していたそうです。私が入社する前のことなので聞いた話でしかありませんが、会社にとっても一大イベント。熱心に練習をして本番に臨んでいたそうですが、営業拠点が拡大していったことで、一堂に介して参加するというのが難しくなったと聞きました。

また、あるお客さまは、「長野」駅から「善光寺」までの参道を通すという話になったとき、当時の当社社長が場所を提供したことで整備できたのだという話をしてくれました。本社は移転しましたが、この場所で企業活動をつづけることには大きな意味があるように思います。このビルも決して新しくはありませんが、古いものに手を加えて街の魅力にしているカフェやショップもありますから、ぜひ我々もそれを見習いたいですね。

「長野」駅と「善光寺」を結ぶ「中央道路」(現在の「中央通り」)は、1924(大正13)年に拡幅が完成
「長野」駅と「善光寺」を結ぶ「中央道路」(現在の「中央通り」)は、1924(大正13)年に拡幅が完成

―― 長野市内で気に入っている場所や、ご自身が感じられる街の魅力について伺えますか?

土井さん : まず浮かんだのが、ライブハウスでもあり小劇場でもある、さらにはフリースペースとしての機能もある「ネオンホール」ですね。「門前研究会」で知り合った方に誘われ、10年ほど前から演劇に携わるようになったのですが、その関係で知った場所です。それまで全く知らなかった空間で、不思議な雰囲気ではありましたが、とても魅力的な場所に映りました。「ネオンホール」を知ったことで、街の奥行きがより増したような気がします。歳を重ねても新鮮な気持ちにさせてくれる面白い場所があるということが、私にとってこの街の魅力の1つですね。

演劇の稽古中の様子(ネオンホールプロヂュース公演「マッチ売りの少女たち」 原作:別役実 作:平田オリザ 演出:西村和宏)
演劇の稽古中の様子(ネオンホールプロヂュース公演「マッチ売りの少女たち」 原作:別役実 作:平田オリザ 演出:西村和宏)

―― 演劇との出会いは“誘われて”とのことですが、それまで経験はなかったのですか?

土井さん : 全くありません。むしろどちらかと言うと、冷ややかな目で捉えていたくらいです(笑)。演劇は数か月かけて稽古をしますが、本番はあっという間に終わってしまう花火のようなもの。稽古はしっかりしたい性分なので、1年に何本も舞台に出ることはできませんが、演劇を通じて色々な方との繋がりができ、それによって「echizen GALO」でも色々なイベントを開催できるようになりました。その意味では演劇が思わぬ形で貢献してくれました。

―― 近年、石堂エリア周辺にマンションが増えてきました。それについての感想と、そこに住まわれることのイメージを聞かせてください。

土井さん : 街にとって、暮らす人が増え賑わいが増すことはいいことだと思います。郊外に家を建てた人からは、自動車がないと買い物にいけないのが不便という話も聞きますが、確かに年齢を重ねていくと、そうした環境に不安を抱くこともあるかもしれません。また、長野市内でも、昔よりは減ったとはいえ冬場は降雪もありますから雪かきが必要です。徒歩圏内にスーパーマーケット、商業施設、さらには「長野」駅もあり、雪かきも草むしりも必要ないマンションでの生活が、選択肢の1つとして考えられるようになったのかと思います。このような生活への人気から、「長野」駅のそばにもマンションが増えているのではないでしょうか。

「echizen GALO」店内
「echizen GALO」店内

土井零視さん
土井零視さん

echizen GALO

株式会社越前屋 オフィス事業部 部長 土井零視さん
所在地 :長野県長野市大字南長野北石堂町1452 2F
電話番号:026-262-1266
営業時間:12:00~18:00
定休日:水曜日・年末年始
URL:https://www.echizen.co.jp/galo/
※この情報は2020(令和2)年10月時点のものです。