スペシャルインタビュー

「源池の森」で豊かな心を育み、地域との連携で主体的な学びを導く「松本市立源池小学校」

松本市民の憩いの場である「あがたの森公園」から歩いて数分のところに「松本市立源池小学校」がある。2021(令和3)年に開校117年をむかえ、松本市の中心地域で、「学都松本」の歴史の一端を紡いできた。同校の原修司校長先生に、学校の特色や地域との連携についてお話をお聞きした。

松本市立源池小学校の原校長先生
松本市立源池小学校の原校長先生

常に先進的な教育に取り組む

――本年度で開校117年目を迎えるそうですね。源池小学校について、沿革や教育目標を教えてください。

原校長先生:源池小学校は、1904(明治37)年、「松本尋常小学校源池部」として創設され、1935(昭和10)年には、校名を「源池尋常小学校」と改め、昭和22年の新学制により「源池小学校」となり、現在にいたっています。長い歴史の中で、現在の特別支援学級のもととなる養護学級をいち早く設置するとともに、言語障がいに関わる「ことばの教室」や「難聴学級」を開設するなど、常に先進的な教育に取り組んできました。校歌に歌われている「人を愛して身を正し、強い心で生きていく」子どもの姿を教育目標に掲げ、これからの時代を生き抜く、たくましい子どもたちを育てていきたいと思っています。

多様な樹木が育つ「源池の森」。かっぱは源池小学校のシンボル
多様な樹木が育つ「源池の森」。かっぱは源池小学校のシンボル

自然の中でのびのび遊び、学び合い、豊かな心を育てる

原校長先生:2021(令和3)年7月現在、児童数は252名、学級数は14クラスです。敷地内には「源池の森」と呼ばれる遊び場があり、子どもたちは虫をとったり、食べられる木の実や山菜を見つけたりと、のびのびと遊びながら、豊かな心を育んでいます。源池の森には立派な土俵もあり、毎年「大相撲源池場所」を開催しています。

源池の森にある土俵。相撲大会があるときは地域の方も応援にかけつけて一緒に盛り上がる
源池の森にある土俵。相撲大会があるときは地域の方も応援にかけつけて一緒に盛り上がる

また、学校の敷地内には小さいながらも田んぼがあり、毎年5年生がもち米を育て、秋には収穫祭をやるなど、地域のみなさんにお世話になりながら米づくりに挑戦しています。

体験が情操を育てる「みどりの時間」

――源池小学校で大切にされているという「みどりの時間」の授業についてお聞かせください。

原校長先生:本校には「みどり教育」「みどりの時間」など、「みどり」という言葉のつく活動がたくさんあります。この「みどり」という言葉は、1960(昭和35)年に行われた「夢の広場作り」に端を発しています。本校の象徴ともいえる「河童池」は、子どもたちと地域の方々の力を総動員して、このときにつくられたものです。

「河童池」。一帯はビオトープになっている
「河童池」。一帯はビオトープになっている

「夢の広場づくり」に見られるような、子どもたちが自分たちの夢を自らの力で実現しようとする活動は、その後も「みどりの学校づくり」として受け継がれ、どの学級でも動物を飼い、草花を育てるなど、合科的・教科横断的な学習が展開されました。本校の諸活動に、「みどり」という言葉が残っているのは、「体験によって情操を育てる」という優れた教育実践を引き継いでいきたいという願いからです。現在では、3学年以上の総合的な学習の時間を「みどりの時間」と呼んでいます。これまでの理念を引き継ぐとともに、時代の変化に応じて新しい取り組みも行っていきたいと思っています。

「源池子ども大学」で職業体験。地域の方とのふれあいも

――――全校縦割りによる職業体験学習とはどういった取り組みですか。

原校長先生:2020(令和2)、2021(令和3)年度はコロナウイルスの関係で実施できていませんが、地域の方々にご協力いただいて「源池子ども大学〜地域の方に学ぼう〜」を開校し、キャリア教育の一環として3〜6学年で職業体験学習を行っています。地域のシェフの方に料理を教わったり、美容院に行って美容師の体験をしたり、プロサッカー選手から指導を受けたり、といった10以上の講座を、保護者や地域の方のご協力をいただきながら校内外で実施しています。1、2学年は「昔から伝わる遊びや物作りを体験しよう」として、お手玉遊びやジャンボごまづくりなどを、地域の方を講師にお呼びして行っています。
実際に仕事を体験することで、日頃は気づくことがなかったプロの意識や心構えを感じられたようです。講師の方とのふれあいも、子どもたちにとってかけがえのない体験になっていると思います。

校舎内には木がふんだんに使われ、温かみのある雰囲気
校舎内には木がふんだんに使われ、温かみのある雰囲気

教育を重んじ、文化芸術の息づく「学都松本」

――――松本市の教育環境についてお聞かせください。

原校長先生:松本市は、北アルプスの山々や美ヶ原高原の豊かで美しい自然環境に恵まれるとともに、松本城を中心とした城下町として栄えた歴史・伝統文化に育まれてきました。さらに、3つの「ガク都」としても発展しています。北アルプスなどの山岳観光都市の「岳都」、「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」に代表される音楽の「楽都」、そして、教育を重んずる文化芸術の息づく「学都」です。

図書室の様子
図書室の様子

松本市が「学都」と呼ばれるようになった背景には、江戸時代に寺子屋の数が多かったことや、明治時代に市民の浄財をもとに、日本で最も古い小学校のひとつとされる旧開智学校が開校されたことなどがあります。埋橋エリアは、「学都」の雰囲気がより感じられるエリアです。

大人も子どもも、ともに学び合い育ち合うコミュニティを目指す

――地域との関わり・連携について教えてください。

原校長先生:本校の学区は歴史ある土地柄なので、卒業生をはじめ、長年本校に関わってくださる方が多いですね。本校にはコミュニティースクール「源池っ子応援団」があり、子ども・教師・保護者・地域の方々が、ともに学び合い育ち合うコミュニティとしての学校を目指しています。地域のみなさまには、子どもたちへの読み聞かせや登下校の見守り、クラブや源池子ども大学の講師などで大変お世話になっています。

防犯安全マップを掲示し、地域と学校が一体になって子どもたちを見守る
防犯安全マップを掲示し、地域と学校が一体になって子どもたちを見守る

相撲大会では地域の方も一緒に応援してくれますし、今朝会った児童の良いところを本校まで足を運んで伝えてくださる方もいます。こういった日々の交流から、地域のみなさまに温かく見守っていただいていることを感じています。いつの時代においても、子どもたちの健やかな成長を願う教育活動をすすめてきた学校だからこその交流だと思います。

――最後に、松本市埋橋エリアの魅力をお聞かせください。

原校長先生:松本を代表するものといえば、松本市出身の芸術家・草間彌生さんのコレクションがある「松本市美術館」、「国宝 松本城」、松本市特別史跡の「源智の井戸」ですが、この3つともが埋橋エリアから徒歩圏内にあります。

1843(天保14)年の「善光寺道名所図会」には「当国第一の名水」と紹介されている湧水「源智の井戸」
1843(天保14)年の「善光寺道名所図会」には「当国第一の名水」と紹介されている湧水「源智の井戸」

松本市には湧水が多く、「源智の井戸」は松本市街地で一番有名な湧水です。本校のすぐ近くにありまして3学年の学区探検で訪れます。こういった地域の方に大切にされている場所を訪れることで、子どもたちが地域のことをたくさん知り、愛着を持ってもらえたらいいな、と思っています。

原 修司 校長先生
原 修司 校長先生
 

松本市立源池小学校
原修司 校長先生

所在地 :長野県松本市県3-5-1
電話番号:0263-32-0207
URL: https://www.city.matsumoto.nagano.jp/kodomo/gimukyoiku/shochu/elementary_school/e_genchi/index.html
※この情報は2021(令和3)年7月時点のものです。