スペシャルインタビュー

趣味から職へ、岳都松本市に移住し山岳リゾートのプロジェクトに取り組む/肥後さん

松本市にお住まいの肥後 (ひご)さんは、2022(令和4)年10月に横浜市から松本市に移住しました。コロナ禍をきっかけに高校時代の友人と山登りを始めたことが、松本市への移住のきっかけになったと言います。

現在は松本市総合戦略局でアルプスリゾートプロジェクトマネージャーを務める肥後さんに、移住後の暮らしや松本市の魅力についてお話を伺いました。

今回インタビューを受けていただいた、肥後さん(提供:肥後さん)
今回インタビューを受けていただいた、肥後さん(提供:肥後さん)

コミュニケーションが自然に生まれるまち

――まずは、松本市に移住されたきっかけをお聞かせください。

肥後さん:3年前に山登りを始めたんですが、初めて訪れたのが北アルプスでした。登山者の憧れといわれる「表銀座」の縦走にチャレンジしたのですが、山の景色に感動して山にハマってしまい、山に関わる仕事に就きたいと考えるようになりました。ちょうど松本市で、山岳地域のエリアブランディングやプロモーションなどを担当する民間人材の募集をしていたので、おもしろそうだと思って応募し、ご縁があって採用していただいたことがきっかけです。

肥後さんも魅了される、北アルプスの絶景(提供:肥後さん)
肥後さんも魅了される、北アルプスの絶景(提供:肥後さん)

――松本市には山登りの拠点として何度も足を運んでいたと思いますが、移住してみて改めて感じた魅力はありますか。

肥後さん:移住してびっくりしたのは、人がやさしいことです。交通マナーがいいところにも、そんな松本市の人の良さが表れていると思います。信号のない横断歩道で車が停まる確率は、長野県が全国トップといいますが、その通りだと思います。

あとは、コインランドリーで五千円札しか持っていなかった時、その場にいた方が小銭を融通してくださったこともありました。いろいろな場面で人のやさしさを感じています。

思い立ったらすぐ山に行ける自由さ

――平日と休日はそれぞれどのように過ごされていますか。

肥後さん:休日はほとんど山に行っていますね。横浜市にいる時は「さあ行くぞ」みたいな感じでないと行けなかったんですが、今は「明日、天気良さそうだから行くか」みたいな感じ。より山が身近になった気がします。松本市は八ヶ岳などにもアクセスが良いので、日帰りでも行けてしまうのがいいですね。

お話を伺った肥後利晃さん
お話を伺った肥後利晃さん

肥後さん:平日は午前8時30分から午後5時まで「松本市安曇支所」に勤務しています。地域の観光協会や、事業者さんとの打ち合わせで外に出ることも多いです。上高地に行って市の所有するトイレの整備や、乗鞍高原で登山道整備に参加する日もあります。

自然や四季とともにある豊かなコミュニティ

――松本市のお気に入りスポットや、風景があれば教えてください。

肥後さん:好きな場所はたくさんあるんですが、東京の友だちが遊びにきた時には乗鞍高原に案内します。「松本」駅で合流して、行きつけの「食堂ごあん」でお昼を食べて、乗鞍へ向かいます。乗鞍高原でマウンテンバイクに乗ったり、冬はスノーシューやネイチャースキーも楽しめます。宿は地域づくりでもお世話になっている「温泉の宿 Raicho」で素泊まり、食事はすてきなオーナーがいる「ペンション マドンナ」でフレンチ。

職場の近くの「食堂ごあん」のお昼ごはん。肥後さんは週1で通う常連。(提供:肥後さん)
職場の近くの「食堂ごあん」のお昼ごはん。肥後さんは週1で通う常連。(提供:肥後さん)

肥後さん:2日目は夏だったら乗鞍岳まで登山をして、市が管理している「乗鞍BASE」でキャンプ。最終日は松本市街に帰ってきて「松本城」を見たり、縄手通りや中町通りをぶらぶらして帰る、みたいなツアーですね。

風情ある中町通りの様子
風情ある中町通りの様子

――それは地元民でも行ってみたくなりますね! 今のお話を聞いていても、地域の方とのつながりを大切にされているのがわかります。現在、参加されているコミュニティなどあれば、教えてください。

肥後さん:登山道などを走るトレイルランニング(トレラン)もやっているのですが、地域の2つのチームに所属しています。松本市がメインの「ONIGUNSOU練」というチームと、諏訪エリアなど、松本市以外の人たちも参加する「土偶連」です。平日夜や週末の練習に参加したり、大会にも出ています。

今年の秋は、土偶連の仲間と山梨県北杜市で開催された「バターになったトラ競争」に参加しました。1周2kmのコースをリレー形式で5周するレースですが、家族連れで参加する方も多く和気あいあいとした雰囲気で、仲間と一緒に楽しみながら走りました。 

仲間と共に得る達成感は、最高の体験(提供:肥後さん)
仲間と共に得る達成感は、最高の体験(提供:肥後さん)

肥後さん:毎年8月第1土曜日に開催される市民祭「松本ぼんぼん」にも、ゲストハウス「tabi-shiro」などで出会った移住仲間と共に参加しました。「tabi-shiro」は移住者向けのイベントも行っているので、この記事を読んでいる方にもおすすめの施設ですね。

山やトレイルなど、自然を歩く文化をもっと身近に

――現在取り組んでいるプロジェクトや、将来の展望についてお聞かせください。

肥後さん:今は「信飛(シンピ)トレイル」というプロジェクトを担当しています。松本市と岐阜県高山市をつなぐ全長115kmのロングトレイルで、2024年の開通に向けて、関係者のみなさんと協力しながらパンフレットを作ったり、イベントを企画したりと準備を進めています。

現在の仕事は任期が3年と決まっていますが、任期が終わった後も山に関わる仕事や子どもを対象とした自然体験教室などをやってみたいと思っており、ガイドの資格取得にも挑戦中です。

肥後さんが企画・運営をした「MATSUMOTO TRAIL DAY 2023」。長野県のトレイルの魅力を伝えた。(提供:肥後さん)
肥後さんが企画・運営をした「MATSUMOTO TRAIL DAY 2023」。長野県のトレイルの魅力を伝えた。(提供:肥後さん)

肥後さん:今後も、登山やトレイルを歩くという文化をもっと身近にしたいと思っています。移住前に有給休暇を使ってアメリカの「ヨセミテ国立公園」を歩いたのですが、そこで驚いたのが、トレイルをカップルがたくさん歩いていることでした。それぐらい山歩きが身近な文化になっていて、ウィンドウショッピングをする感覚で山を歩いているようなんです。ここでも、それぐらい身近な存在にできるように山好きを増やせたらいいなと思っています。

「ヨセミテ国立公園」(提供:肥後さん)
「ヨセミテ国立公園」(提供:肥後さん)

――最後に、これから松本市エリアに住むことを検討されている方々へ、メッセージをお願いします。

肥後さん:私は、街の良さも味わいつつ自然も楽しみたい、という場所を求めていたのですが、実際に住んでみて、その両方がぎゅっと詰まっているところだなと思いました。美味しい飲食店が多いことも個人的には外せないポイントでした。松本市は、街も自然も両方好きという人にちょうどいいところです。

刷りあがったばかりの「信飛トレイル」のパンフレットを持つ肥後さん
刷りあがったばかりの「信飛トレイル」のパンフレットを持つ肥後さん

 

肥後利晃さん
肥後利晃さん

肥後(ひご)さん

2022(令和4)年に横浜市から移住。登山にハマったことが一つのきっかけで、現在では松本市総合戦略局でアルプスリゾートプロジェクトマネージャーを務め、松本市の自然を支えつつ、趣味としても登山やトレイルランニングを楽しんでいる。

※この情報は2023(令和5)年12月時点のものです。

 

趣味から職へ、岳都松本市に移住し山岳リゾートのプロジェクトに取り組む/肥後さん
所在地:長野県松本市 

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